タンゴの歌のはなし

私がはじめて聴いたタンゴ歌手というのは、ロベルト杉浦でした(笑)もともと小松亮太ファンだったので、その流れで聞きに行ったのでした。ロベルトさんの歌声は悪かなかったけど、特に好きだというものではなかったのです。実は。(あのキャラクターにはちょっとやられたけど)男のひとだったし、歌はどっちかというと女声が好きなのですよ。私。
んでもって、その後、堀尾暁子*1さんの歌を聞いて、タンゴってこんな高くて綺麗な声で歌って良いものなのか、ってびっくりして。
で、私のイメージしてたタンゴ歌手ってもっとしおしおのがらがらの演技過剰なイメージがあったんだけど堀尾さんの歌はそういう感じではなく、清潔で理知的な感じがしたのです。
タンゴをこんな感じで表現していいものなら、私も歌いたいと、急に思ったんですね。
なんで、ダンスでもなく、楽器でもなく、歌なの?しかもタンゴ?と聴かれることがよくあるんだけど私、結局、人前で声を出したかったんだと思う。
昔、小学生の時、ピアノ、実はすっごい自信もってたのにあっさりコンクールでおっこっちゃって(器楽部でピアノは一人だったせいか、井の中の蛙状態だったのですね)それ以来、褒められることのほとんどなくなってしまった私にとって、(そうそう、それ以来、存在も薄くなっちゃたわよ)「是枝の朗読はうまいなぁ」なんて褒められて、国語の時間はいっつも私が読んでたなんてことが、やっぱり大きいのだと思うのよ。(学校での私のアイデンティティって今考えるとそこだけだったかも、くらいだわさ。そこまでいうと大げさか。でも、それで演劇部とか入っちゃったわけだし)
ほんとのこといえば、お芝居をやりたかったんだけど、私、お芝居って全く才能なくて、役立たずで。演技はダメダメだし、演出できないし、脚本かけないし、人まとめらんないし。
歌だと身軽!脚本(曲・歌詞)はとりあえず書いてあるし、演出(解釈)は自由。
もちろん、タンゴがグッときた、からってのが一番なのだけども。
タンゴのメロディーとかリズムとかが、なんでかな、私の今までをすべて理解してくれた、ような気がしたのよ。ダメダメでへにゃへにゃで、でも、何かにうずうずしてるのに、うまく言えない私の今までの。鬱屈みたいなのを。
たぶん、私、それを言いたいんだろうな、あたしだってここにいるんだってば!って。
そういうのをね、世間に言う手段を探していたんだと思う。
自分の中で、それが今は、タンゴを歌うことであり、こうして、ネットでにっき書いてることでもあるんだけど。(タンゴを知るきっかけになったのはネットの存在も大きい)

で、歌を習い始めた訳です。正直、歌に自信はなかったし、発表会で歌えたらいいな、くらいの気持ちだったのです。最初は。
うちの先生の発表会って、伴奏がEL TANGO VIVOだったりして、めっちゃ豪華だしね。
まぁ、そんな感じで習ってるうちに若者組だったのもあってか、先生や他の生徒の方にも可愛がってもらえたし、上手いじゃない、なんて言われたりして、そうなってくると、あたしはタンゴを歌うためにここにいるのだわ、くらいな気持ちになってきたわけですね。

あ、なんかこう書いてみると、私ってほんと、褒められると付けあがるタイプなのねー(笑)

で、その後、もっと興味が湧いてきて、ぽつぽつといろいろ歌手のCDを聞いたりして(って言うほど聴いていないのだけど)私の歌の理想はスーシィ・レイバ*2で、彼女みたいに歌いたいなぁ、と思っているのであります。
彼女の歌は、声量があって、力強く、情熱的。乱暴でも下品でもない。そしてとっても、若々しい。歌声からして美人!(33歳で亡くなってるから実際若いし。美人。リンク先の写真はなんかまゆげ濃いけど)マリアーノ・モーレス*3の派手な曲にめっちゃぴったしなのだ。
あたしは美人でもないし、彼女のように声量も、あんな美しい声もしていないけど私なりの、彼女のような、素直で志の強くて、情熱的な歌い方ができればいいなぁと。
歌って性格が表れるっていうからな。それがいちばん難しいとこではあるけれど。