さるフェス 自分の覚書き

今回のさるフェスはちょっとしたお話し仕立てでお送りしました。
そしたら、「あれは実話ですか?」と何人かの方に尋ねられたのですが
フィクションです、ウソです、すみません。w
せっかくなので、設定を、セットリストとともに覚書きとして書いときます。

ガラスの部屋

西馬込の食品工場につとめる「わたし」は、毎日機械からひりだされるなにかの形を整える仕事をしている。
同じく同じ工場で、なにかの皮をむく仕事をしている「ミユキさん」がピアノを弾くと聞いた。
「わたし」は若いころに、田舎で歌手を目指していたのだった。
しかし、地元でカラオケ大会に出まくっていたが、いつも渋く僅差で負ける同い年の女の子がいた。
彼女と一緒にいることがつらくなったわたしは、上京して歌手をめざしたが
地元でも1位になれないわたしが、歌手になれるわけもなかったのだった。
40代も半ばをすぎて、ただ歌を歌いたくなったわたしは、ミユキさんにピアノを弾いてもらい
せっかくなので世の中でもっともむつかしいと思われる歌を練習することにした。

「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」(夜の女王のアリア)

歌を練習するうちに、いつも負けていた彼女のことを思い出し、数年ぶりに年賀状を送ってみた。
しかし、返事はこなかった。
しばらくして、いつものように工場から帰ると、住んでいるアパートの別の住人の部屋から白い鳩が飛び立つのを見た。
なにか胸騒ぎがして部屋にもどると、彼女のおかあさんからお手紙が届いており
彼女は去年の6月に亡くなり、地元の友達たくさんの人に送られたという。
それからさらに数日後、鳩がとびたった部屋の、50代の男性が孤独死したと大家さんから聞く。

「白い小鳩」

彼女が亡くなったこと、それを知らされなかったこと、50代の方が孤独死したということをきいた「わたし」は、自分も孤独に死ぬのではないかと毎日恐怖する。
ある朝、工場の屋上で、朝礼でラジオ体操をしているとき、みんながいるまえで発作的に屋上から飛び降りてしまう。
そこへ、謎の男があらわれ、いろんな世界を見て回ろうとわたしを連れ出す。

「ロコへのバラード」

彼は、あちこちにわたしを連れて行ってくれ、どこへ行ってもわたしは歓迎される。
しかし、彼はすぐに、別の場所へわたしを連れ出すのだった。
わたしは、彼に、おちついてひとつの場所であなたと暮らしたい、と述べると
彼はわたしの手を放してしまった。
すると、わたしはそのまま屋上からおちていくのだった。
屋上からおちながら、わたしは、やっぱりひとりでもいいからこれからも生きたいと後悔し
神様に祈りをささげるのだった。

アヴェ・マリア」(ピアソラ